本記事では、年度末(12月31日)をまたぐ、アマゾンの売上の会計処理の方法について説明してみます。アマゾンのペインメント(決算期間)は、2週間に1度なので、どうしても期末日をまたぐ、売上確定報告が出てきてしまいます。
それをどのように、記帳・仕訳したらよいのでしょうか。
前回の記事では、通常の2週間分のペイメントの売上のつけ方をトピックとして扱いました。まずはそちらが基本となりますので、まだご覧になっていない人は、是非ご一読ください。
目次
年度末をまたぐ、アマゾンの売上の仕訳・記帳の方法
今回は、2014年度の年度末(12月31日)を含む、アマゾンのペイメントを実例として取り上げてみます。
上の写真をご覧下さい。四角い、だいだい色で囲った部分が、今回仕訳をするペイメントです。期間を見ると、 12月22日から1月5日までとなっており、年度をまたいでおります。
通常ですと、1月5日に、この決算期間の売り上げが確定しますので、1月5日付で、売掛帳に記載をし、1月8日頃、銀行口座へ入金の確認が取れたら、振替伝票を使って、売掛金の消し込みという作業をすれば良いのです。
12月31日の注文分までは本年度に計上する
ここで、ついついやってしまいがちなのは、「入金されたのが、翌年の1月だから」という理由で、この期間の売上を全額翌年に回してしまう事です。
しかし、青色申告では、「発生主義」という方法で会計処理をしなくてはいけないことになっています。そのため、この期間のペイメントの、12月31日までの注文分に関しては、たとえ年内に入金がなくても、今年の売上として計算をしなくてはなりません。
発生主義は、商品が動いた段階で、売上として記帳するというルールになっています。アマゾンの場合で考えると、お客さんが商品を注文し、 amazon が発送した段階で、売上発生ということになります(FBAの場合)。
よって、12月31日までの注文分を、今年度の売上として記帳仕訳することにします。
※そのため、厳密に言えば、2週間のペイメントをまとめて、仕訳処理するのではなく、商品1点ずつ、仕訳処理をするのが、本来の正しい方法ですが、せどりの場合、年間の売り上げが1万点を超える人もざらにいると思います。それらを全て、記帳処理するのは現実的ではありません。
2週間に一度の会計処理でも、結局のところ、税金の支払い金額は、全く変わらないため、2週間に一度の会計処理としている方が、私の知る範囲ではほとんどです。 ただし、この期末期間だけは、しっかりと31日までを日割りで処理しましょう。
では、計算をはじめましょう。
まず12/22~1/5までのトータルの売上は¥716,778
振込額(口座入金額)は¥603,527
なので、この期間のAmazon支払手数料は「¥716,778-¥603,527」を計算すると、
¥113,251となります。四角の黒枠は無視してよいのでしたね。(前回記事を参照)
「12/22~12/31」と「1/1~1/5」の2つの期間に分ける
ではこの期間のペイメントを「12/22~12/31」と「1/1~1/5」の2つの期間のペイメントに分けてしまいましょう。
そのためには、「この期間のトランザクション(個別商品ごとの売上履歴)」を調べてやる必要があります。
amazonの出品アカウントを開いて、「レポート」→「ペイメント」→「過去の決算情報」へと進みましょう。
そして、期末日をまたいでる決算期間を見つけ出して、写真の場所をクリックします。
すると、こちらの画面になるので「この期間のトランザクションを確認」をクリックします。
これで、個別商品ごとの詳細ページにたどり着きました。この期間に売れた商品数は122件だったようです。これを、2014年の売上と、2015年の売上に分けてやりましょう。
この年の私の例ですと、1/1~1/5の方が、期間が短いため、売り上げ点数が少なく計算が楽だったので、まず、2015/1/1以後の売上を出して、その金額を12/22~1/5の売上金額から、差し引いてやる事で、2014/12/22~12/31の売上を算出する事にします。
1月1日以後の19点の「商品価格の合計」(写真中央の黒枠部分)を全部足して、2015年の売上合計金額を出します。すると、¥170,593でした。
次に、この期間の入金金額(銀行の口座に振り込まれる金額)を計算します。写真右側の黒枠内を全て足します。計算すると金額は¥142,855でした。
売上-入金=「amazonの支払手数料」ですので、¥170,593-¥142,855=¥27,738
これが、1/1~1/5のamazon支払手数料(経費)になります。
まとめますと、2015/1/1~1/5の期間は、
売上額¥170,593 入金額¥142,855 amazon支払手数料¥27,738
この数字を元に2014/12/22~12/31の各金額を算出します。最初に出しておいたトータル期間(12/22~1/5)のそれぞれの数字から、先程出した2015/1/1~1/5の各金額を差し引けば、知りたい金額が得られますね。
では、計算してみましょう。
売上額¥716,778-¥170,593=¥546,185
入金額¥603,527-¥142,855=¥460,672
amazon支払手数料¥113,251-¥27,738=¥85,513
となり、会計処理に必要な数字が全て出揃いました。
記帳・仕訳作業に入る
必要な数字がそろったので、いよいよ実際に記帳してやります。
売掛帳に記帳
まず売掛帳を開き、12/31の日付で、¥546,185を記入します。
借方 売掛金 金額¥546,185 貸方 売上金額 ¥546,185
正確に記すと、上の太字の様な処理をするのですが、会計ソフトの売掛帳に日付と売掛金の金額を入れればそれでOKです。
経費帳にamazon支払手数料を未払い金として記帳
さて、12月31日までの売掛金の記帳が終わりました。同時に経費となるamazon支払手数料も記帳します。まだ入金されていない売上が本年度に入るなら、同じ理屈で、まだ支払っていない経費も本年度に入りますね。
会計ソフトの経費帳の「amazon支払手数料(予め登録しておく)」の項目を開きます。仮にいつもの「摘要」が「amazon支払手数料」ならば、分かりやすくするために、
「amazon手数料未払金」などと摘要を登録して、相手科目という欄に「未払金」を選び、金額(この場合は¥85,513)を入力します。日付は12月31日です。
お疲れ様でした。これで、期末の売上の記帳と仕訳が終わりました。
翌年の振替処理(消込作業)をする事
上記作業をすれば、取り敢えず今年の確定申告は出来るはずです。
ただし、売掛金は、年始の最初の入金で、全額回収できるし、未払い金だったamazon支払手数料もamazonに天引されて、未払いではなくなります(その時点で支払完了ですね)。
よって、翌年度の会計で、売掛金と未払金の振替伝票と作成して、消込作業をする必要があります。ただし、この作業は、会計ソフトの場合、「会計期間を翌年に移動」しないと出来ません。
注意事項
私の使っている「ミロクのかんたん青色申告」では、翌年に会計期間を移動すると、一昨年のデータの編集が出来なくなる仕様になっています。
翌年度が2017年だとして、そちらを新規作成すると、2016年度のデータはまだ編集できますが、2015年度のデータは、もう編集できなくなります。使用する会計ソフトによって、仕様が違うかもしれませんので、その辺りは、しっかりと確認しておきましょう。
実際の振替作業
それでは、注意事項を踏まえた上で、翌年度の会計期間に移動しても、もう準備万端、大丈夫だとなったとしましょう。
1.売掛金 (2015/1/1~1/5の期間)を記帳する
まず、一番最初に1月5日の日付で、12/22~1/5の決算期間のうちの、まだ登録していない分、つまり1/1~1/5の売上を売掛帳に記載します。
1/5の日付で先に出しておいた、
2015/1/1~1/5の期間の売上額¥170,593を売掛帳に入力します。
2.振替伝票をつくって、後処理を完成させる
1月8日に、銀行の口座に入金がありました。金額は、amazonのペイメントに記載されていた通りの金額(12/22~1/5の決算期間の入金予定額)¥603,527でした。
この入金によって、売掛金は全て回収し、払うべき経費(amazon支払手数料)も全て天引され、支払完了となった訳です。
ではその事実を、会計ソフトに記帳する事にしましょう。
まず伝票を作る日付は、入金が完了した1月8日です。
借方には、入金があった銀行口座、貸方は売掛金で記載します。
表が4行もありますが、厳密には、上2行と下2行に分かれています。なので、同じ日付で伝票を2枚(上2行だけのものと下2行だけのもの)作ってもよいと思います。
上2行は、昨年度の2014/12/22~12/31の期間のペイメント、
下の2行は、翌年に入ってから、2015/1/1~1/5のペイメントを表しています。
実際に銀行口座の通帳には、¥603,527の数字が入っていますが、それは上下二つの銀行口座入金額¥460,672と¥142,855を足した数字になります。
未払金とは、昨年末31日に未払い金として処理したamazon支払手数料の事です。
一番下の、amazon支払い手数料には、今年に入ってからのamazon手数料の金額¥27,738が入ります。
これら(表の左側)を縦に全部足した金額は、伝票の右側の二つの売掛金額(~12/31と1/1~)を足した額、すなわち、12/22~1/5の決算期間の売上高¥716,778と一致します。
この作業が完了すると、12/22~1/5の決算期間のペイメントの会計処理が完全に終了したという事になります。
まとめ
ここまでお読み頂いたみなさん、お疲れ様でした。なかなか大変な作業ですが、慣れてしまえば大丈夫です。
シンプルに、ペイメントを~12/31と1/1~の二つに分けて分解して書いてあげれば良いだけです。
~12/31までの売上と経費は本年度に、1/1~の売上と経費は来年度の確定申告に分かれます。という事を理解しておけば、後は、簡単な計算だけなので、確実に処理しましょう。
銀行にお金が入金された後の、振替伝票の作成(消込作業)は、翌年度の会計期間に移動して行うという事、そして、その際、一昨年のデータの編集が出来なくなるソフトもあるという事も頭に入れておきましょう。
本日はここまでです。以上、ゆうがお伝えしました。
早く終わらせて、がっつり仕入て下さいね!